【声明】「改憲手続き法」改正案に反対する

【声明】「改憲手続き法」改正案に反対する

衆参憲法審査会において、「改憲手続き法」改正案が強行採決されようとしている。

私たちは、以下の観点から絶対反対の立場を表明する。

まず、憲法は、権力者が守らねばならない権力制限規範である。権力者が憲法改正を主張することは許されない。これは憲法99条が示すところである。しかも、憲法は現状を規定するだけでなく、将来にわたる国家の基本を規定するものである。「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」(憲法97条)としている。従って、現憲法によって社会生活上困難が生じていない以上、改憲の必要性は生じていない。問題なのは、憲法ではなく、憲法に従った政治を行わない政府に問題があるのである。

そもそも安倍政権を引き継ぐ現政権下において、崇高な憲法を議論する資格さえ喪失している、と言って間違いない。国家資産を8億円も値引きして売却した森友学園問題、さらに首相答弁をかばう形で公文書が改ざんされ、真面目な国家公務員を死に追いやった。これ一つとっても万死に値する。その上、友人の学園には違法な形で獣医学部の加計学園新設を認めた。本来の趣旨を逸脱し、自らの後援会のために税金を私物化し「桜を見る会」を利用し、黒を白と言いくるめるために、黒川東京高検検事長の定年延長まで画策した。そして1億5千万円もの資金を投入し、金で票を買った河井克行議員を法務大臣に据えた。こんな憲法と法律を無視してきた政権が憲法まで手を付けようとしている。

しかも、憲法9条を骨抜きにし、戦争のできる憲法に書き換えようとする意図が明らかな以上、憲法改悪に手を貸すような「改憲手続き法」はいらないのである。立法不作為に当たる、との主張があるが、立法事実がない中で「不作為」には当たらない。究極の「不要不急」の議論である。戦争を可能とし、国民の平和的生存権を奪うような憲法改正は断じて許されない。

この度の憲法改正手続き法は、憲法改悪の為の手続法改正案である。国民が憲法改正を望んでいないにも拘らず、アベ元首相をはじめ、菅首相が憲法改悪を推進することは許されない。その上で「公選法並び7項目」の改正を行うとしているが、そもそも人を選ぶ選挙と国家の基本法を改正する投票と同一視してはならないし、「投票環境の向上」の目的に反する改正案となっている。国民主権を尊重するなら、国民全体の意思が正しく反映される制度が必要であり、マスコミ規制を行い、最低投票率を設け、投票者の過半数ではなく、少なくとも有権者総数の過半数とすべきである。

この改正案は、「国民投票法」ではない。憲法改悪を意図した手続法であり、我々は断じて認めない。悲惨で無残な戦争を繰り返してはならないと誓った平和憲法を守り抜くことをここに表明する。

2021年5月11日

静岡県平和・国民運動センター